2016年6月6日月曜日

日米草野球オヤジの比較ーその2

以前書きましたが、私はロスアンジェルス近辺で2つの草野球チームに所属しています。
1つはアメリカ人中心の硬式野球、もう1つは日本人中心の軟式野球です。

どちらも日曜に試合がありますので、自分に都合のよい時間と場所を選んで行っているのですが、たまに午前と午後に別々のリーグの試合に出ることもしています。この前なんて、4タコをハシゴしちゃって、しかも両方の試合でエラーしちゃったよ、という個人的な話をしたいわけではなくて、国民性からくる両者の違いについて、2つのキーワードを元に述べたいと思います。

それは「退場」と「乱闘」です。

ヤジの応酬が嵩じて怒鳴り合いになったり、審判の判定に文句をつけたり、そういう大人げない行為は、アメリカ人リーグの方が圧倒的に多いです。放送禁止用語もバンバン出ますし、延々と怒鳴り続ける人が毎試合のように見られます。度が過ぎると「退場!」です。これがアメリカ人リーグではしょっちゅうあります。血の気が多い若者ではなくって、40代、50代のおっさん達がそうなのだから呆れます。

日曜日に楽しみの為に遊びで野球をやっているんだよって意識はアメリカ人も日本人も同じように持っていると思います。プロじゃないんだし、何も勝負に拘る必要もないんだよ、ってことも皆わかっていると思います

それなのに、たった1球のボール・ストライク、アウト・セーフの判定に我を忘れて怒りまくる人はアメリカ人リーグでたくさん見てきました。一方の日本人リーグではぶつぶつ文句を言う人はいても、退場させられるほどの悪態をつける人は見たことがありません。当然、退場者も日本人リーグでは見たことがありません。

極め付けは「乱闘」です。
両チームの選手がフィールドに駆け寄り、輪の中央ではトラブル当事者たちが押し合ったり殴り合ってる、ってアレです。メジャーリーグでも日本のプロ野球でもたまにありますね。
これを草野球でやってしまうのがアメリカです。

昨日のゲーム、1塁近くのクロスプレーで、それた送球を捕球した1塁手が打者走者にタッチしてアウト。そのタッチが強くて痛いやんけ、おうこらおうと打者が一塁手に詰め寄り、一塁手が何言ってんねん、ただのタッチやんけと怒鳴り返して、悪いことに相手の胸を両手で押し返してしまいました。あっという間にもみ合いになり、両チームの選手が駆け寄って、それぞれの当事者を必死で抑えました。もちろんアメリカ人ですので、大阪弁ではなく英語でこれをやっているわけですが、雰囲気としてはこんな感じです。

両チームと審判を合わせたら30人近く、全員を合計した年齢は間違いなく1000歳を越えています。。。。全く困った人達です。

少年野球の方がよっぽどマナーが良いし、大人の草野球に子供を連れてくる人が少ないのも頷けます。絶対に子供の手本にはなれません。アメリカ人に大人の分別がないとは言いませんが、野球オヤジには希薄であると言わざるを得ません。

この日は最初に手を出した一塁手が退場となって、試合は続行されました。一旦決着すると、何もなかったように冗談を言いながら野球をやってしまう切り替えの早さもアメリカ人の特徴と言えるかもしれません。

かく言う私も乱闘の当事者になったことがあります。決して私が悪いわけではなく(皆そう言うのですが)、いわば無邪気な行為が相手の逆鱗に触れたことが原因です。

私はその日2塁手を守っていました。2塁にランナーがいて、ピッチャーが牽制のモーション。モーションだけで投げなかったのですが、慌ててベースにスライディングで戻ってきたランナーに対して、私がボールを捕球する「ふり」をして、タッチする「ジェスチャー」。あくまでジェスチャーでランナーに触ってはいません。

これをFake Tagといって走塁妨害に当たるんだそうですね。恥ずかしながら、私はそれまで知りませんでした。とは言え、本気で相手を騙そうとしたわけではなく、単に景気づけというか雰囲気を盛り上げるような軽い気持ちでした。審判からも特に注意されませんでした。

ところがランナーの怒ることと言ったら凄かったです。何してんねん、腕へし折ったろかいとベース上から怒鳴りつけてきました。驚いて呆然としている私が何か言おうとする前に、仲間のショートが何言っとるんやお前、ってランナーに詰め寄っていました。あっという間に両チームの選手が2塁ベース付近に集まってきて、ランナーとショートを引き離しにかかりました。当事者であった筈の私は何が起きたかよくわからず、輪の外でボーと立っていました。


この時は「物理的な」暴力がなかったということで退場者はありませんでした。騒動の後でチームメイトからFake Tagの説明をうけて、私にもようやく事情が呑み込めました。たまたまそのランナーは相手チームのキャッチャーでしたので、次の打席に入る前に「ルールを知らなかった。済みませんでした」とヘルメットを脱いで謝罪しました。するとまあ、相手キャッチャーは一転して上機嫌になり、「わかった。謝るな。お前はいいヤツだ」と立ち上がり、ハグまでしてきました。本当に切り替えの早い人達です。でも大人げないよ。

2016年5月13日金曜日

アメリカの高校野球

一つ前の記事でも書きましたが、私の息子が進学予定の地元高校。
特に野球が強いわけではない、ごく普通の公立高校です。
アメリカは住む地域の経済格差がそのまま公立学校の施設に露骨な差として現れるのですが、
私達が住む市は貧しくはなくても、決してお金持ちの市というわけでもありません。

それなのに、高校野球部の環境はこの通り。
日本なら甲子園常連校、ひょっとしたらプロ野球チームと同等の設備ではないでしょうか。
少年野球の頃は日本に比べたらヘタクソなアメリカの野球少年達も、高校、大学と進むにつれてレベルアップしていきますが、これを見たら当たり前じゃないかって思います。

ホームグラウンド。敷地内にはもう一つフルサイズのグラウンド(2軍用)の他に、ブルペンとバッティング練習ケージもあります。


フェンスにはスポンサーになっている地元企業の看板バナーがずらり。

今年の1軍チームのポスターまで。

2016年2月26日金曜日

東京オリンピックで軟式野球を!

大学時代に少年軟式野球の世界大会で通訳のバイトを2年連続でしたことがある。佐川急便とナガセ(軟球のメーカー)がスポンサーになって、東京近辺に何十か国ものチームを集めて、「軟式」野球の大会を開いていた。今でもやっているかは知らない。

私は1年目はフィンランド、2年目はベルギーのチームに帯同した。勿論、私にフィンランド語やオランダ語が出来るわけではなく、英語で通訳した。選手の子供達はアメリカンスクールに通っている子達が多かったし、コーチや監督がアメリカ人だったりしたので、それでも何とか用は足りた。

世界大会と言っても、別に各国で予選をやっていたわけでも、代表選手を選抜していたわけでもなく、殆どはその国の何処かの町で日本行きを希望する子達を集めてチームを作っていたようだった。私が担当した両チームも恐ろしくヘタクソだった。日本の少年野球チームと練習試合をするといつもコールド負けだった。大会の決勝もたしか日本対韓国か台湾だったと記憶している。

それでもアメリカが主導している硬球のリトルリーグではなく、日本発祥の軟式野球を普及させようという試みは素晴らしかったと思う。今現在、硬式野球と軟式野球のどちらが世界の主流かと問えば、もちろん硬式野球だ。軟式野球は多分、日本でしかやっていない。上の大会でも、大抵のチームは普段硬球で野球をしていて、日本で初めて軟球を触ったという子達が多かった。日本のプロ野球とメジャーリーグのボールの違いどころではない。

そうした現状を度外視して両者を比較すれば、私は軟式野球の方が優れたスポーツだと思う。まず第一に安全だ。デッドボールを食らっても痛くない。守備練習も恐くない。ヘルメットや金的カップもいらないので費用が安い。バットが折れることもない。フィールドの外にボールが飛び出しても大事には至らないから、頑丈で高いフェンスも不要だ。

野球自体がサッカーに比べて普及度が低いのは、そのあたりのハードルが高いことも一因ではないだろうか。アメリカ育ちの息子は小さい頃からヘルメットだの金的カップなどを身に着けて、専用の野球場だけでしか野球をやったことがない。たかが子供の遊びなのに仰々しいし、おカネもかかる。これでは世界に野球を普及させようとするのは無理がある。


プロ野球やメジャーリーグが軟球でやれば、それを目指して競技人口は飛躍的に伸びるだろう。日本の「カイゼン」を世界に広めることが出来たら素晴らしい。東京オリンピックで野球を復活させるのなら(個人的には反対だが、その辺は別の機会で述べたい)、いっそのこと軟球を使用してはどうだろうか。